【生肉注意】ウサギ美味し、かの山~♪

※調理前の動物の肉が登場します。
更新が大分空いてしまいました。新しい年ももう2ヶ月過ぎ、皆さまどのようにお過ごしでしょうか。

新年早々一番大事な時期に39度近くの熱が2週間続きましたが、私は何とか生きてます。休み中も家でほとんどくたばっていたので、さぞかし寂しかったろうとおっちゃんに聞いてみたら、黙って両手を翼のように優雅に広げていました。
のびのび過ごせたようで何よりです。

クリスマスのごちそうは?

鶏の丸焼き。
鶏の丸焼き。1000円前後でできちゃいます。あまり美味しそうに見えないのは仕様です。

我が家では毎年(安い)鶏や(半額の)七面鳥を丸焼きにして、ささやかながらクリスマスを祝ってます。安価でクリスマス気分が味わえるのはもちろん、年寄り2人では絶対に食べきれないので残った肉は翌日の朝食に使えます。

鶏の※から野菜と米を適当に突っ込み、オーブンに叩き込んで1時間。

コスパが良くそれなりに見える上、記念日などにお茶を濁すのに最適な料理ということで肉さえ安く手に入れば作ってます。ところが2013年はなぜかウサギを料理することになりました。

スペシャリティミート

気が変わったきっかけは、岡山に住む猟師さんの日常を描いた『山賊ダイアリー』です。
この漫画にはイノシシ、シカ、カモなど実に様々な肉の調理法が登場、読んでるだけでヨダレがダラダラ。たまたま年末に新刊を購入し、読んだ後に「変わった肉(スペシャリティーミートというそうです)ってアマゾンで売ってるのかな?」と検索してみました。

検索結果はすごいものでした。
大好物の羊はもちろんカンガルー、食用カエル、ワニの足……。スーパーでは手に入らない食材ばかりです。おっちゃんはもともと馬肉や鴨などが大好きですし値段も何とか買える範囲。これは楽しい年末になりそうです!

最初、思わずワニの足を注文しそうになりましたが踏みとどまりました。
輝くクリスマスツリー。ロウソクの灯がケーキをやさしく照らします。
「あなた、お帰りなさい」
妻が優しく微笑みながら差し出すのは……ワニ。
どう考えてもアウトです。

ウサギにしよう!

ワニやカエルは後々挑戦することにしました。今回は年末年始のおめでたい時にふさわしい肉を選びます。

目に入ったのはウサギです。おっちゃんの同僚が愛くるしいウサギを飼っているのは一旦忘れます。「いやぁ~、年末にウサギ食べたけど美味かったなぁ」なんて会話が飛び出す可能性もありますが、多分大丈夫。

ウサギ肉は2種類。お安いパーツのみのもも肉、そして3000円の丸ウサギ

せっかくなのでウサギ一羽をまるまる食べることにしました。
ところがこれが甘かった……。

ウサギを待つ

スカイリムのウサギ
Skyrimのゲーム内で台所なんかにぶら下がっているウサギ。おいしそうです。

子供の頃から父の釣りに付き合っていた私は一応大きな魚もさばけます。学生時代、女子だけで行ったレストランで鶏の丸焼きが出た時、怯えるみんなに肉を切り分けてました。それに一人暮らしで自炊したり主婦になったら生肉なんて普通に扱いますよね。

ウサギ一羽さばくのなんてどうってことない!

とタカをくくってました。
注文後、早く届かないかな~なんて毎日ワクワク。おめでたいものです。

ウサギ到着

待望のウサギがやって来ました。ドキドキしながら箱を開けます。

ウサギ到着
ぷちぷちにくるまれたウサギ。下の赤いのは同時に買った鹿肉です。
冷凍ウサギ
冷凍用の箱ではありませんが、ウサギはカチカチに冷凍されているので問題ないみたいです。それにしても包装のビニールがペラい!

何も警戒していなかった私は、ウサギを片手で取り出しました。

スパーン! ゴトン、ゴロンゴロン。

ビニールの底が抜け、激しく床に叩きつけられるウサギ。床に散らばる氷の破片。凍っているとはいえ生肉をリビングの床に落とすというのは結構ショックです。床と生肉という、どう考えても美味しくなさそうな組み合わせを見ながら若干不安を覚えました。

ウサギの重み

どう持っていいのかわからず、とりあえずお姫様抱っこで流しに運びます。毛皮ははがれて丸裸、内臓は出してあり耳や手足の先は切られていますが、触ったことがある人ならウサギと分かるレベルです。いや、でっかいネズミにも見えるかな。
見慣れないのでちょっと気持ち悪いですが、とにかく買った以上は食材として責任もって調理しなければなりません。大体本場では若い娘さんが、お魚みたいな感覚でさばいてるみたいですし。

解凍ウサギ
本来は何日かかけて解凍するそうですが、クリスマス当日に届いたので数時間常温で放っておいてから手足をゆっくり開きました。生々しすぎて公開できません。

添付のイラストを見ながら、ウサギをさばきます。
『山賊ダイアリー』で登場するような「殺す、皮をはぐ、血や内臓を抜く、食べられない部分を取り除く」といった大変な作業は、スペインの製造元の人がやってくれています。
残っている部分は余すところなく使える食材。なのにすごい違和感。
鶏の※には躊躇なく手を突っ込めるのに。

食材としてのウサギ

前足と後ろ足
並べた前足と後ろ脚。一番楽しみにしていた部分です。ここまできたら見慣れた食材。

小一時間ほど解体を続けウサギはバラバラになりました。肉の量が結構多かったので、一部はタッパーで冷凍保存。関節の外し方のコツさえ掴めば後は簡単です。

頭を数回転させて外す時の音と光景だけは、一生モノですが。

好奇心で買ってみて

ウサギの山賊焼き
ウサギのモモをトマトピューレとハーブで味付けした『ウサギの山賊焼き』。レシピはネットで探しました。

ここまできたらいつもの料理と変わりません。手足は山賊焼き、その他の部分は圧力鍋でシチューにします。この辺りでおっちゃんが帰ってきました。
「うまそうな匂いするな~」と鍋のふたを開けたおっちゃん。
次の瞬間妙な声を上げました。

何事かと尋ねたら、鍋に入れていたウサギの頭と目が合ったそうです。
頭? もちろん入れました。食材は余すところなく使い切るのが我が家のモットーですから。

念願の「ウサギのモモ肉」「ウサギのシチュー」は、当然ですが美味しかったです。スカイリムでもウサギの料理って登場しますよね。前から食べてみたかったので満足です。数種類のウサギ料理を楽しめて、2人で3000円っていうのもお得ですし。

時間と機会ができたら、また食べたいです。

変な話ですが今回ウサギをさばいてみて「肉とは動物の死体なんだな~」と改めて認識しました。「いただきます」「ごちそうさま」は食材や関わった人たちに感謝する言葉ですが、忙しい時などつい形だけになってしまうので気をつけます!

おまけ

年末おっちゃんの勤務先で忘年会があり、私も混ぜてもらうことに。
心配だったのは『ウサギを飼っている同僚さんとその彼女さんがウサギ料理の件を知っている』こと。2人はいつもと変わらず接してくれましたが別の人にウサギ料理のことを尋ねられた時、二人の視線が何となく信じられないモノを見る目つきに見えたのは気のせいでしょうか?